黒牛 純米酒 中取り無濾過生原酒
和歌山県

黒牛 純米酒 中取り無濾過生原酒

蔵元: 名手酒造店
純米 原料米: 山田錦 精米歩合 55%
★ 4.5
★★★★☆
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+6
酸度
1.8
アルコール度数
18.5%
価格目安
1,700〜1,900円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

馬刺し 鴨ロース 牡蠣 ブリの照り焼き

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

定番の「黒牛 純米酒」が火入れで一年を通して安定した旨みを届ける常備酒なら、この「中取り無濾過生原酒」は同じ純米酒を最も荒々しくも贅沢な形で瓶詰めした季節限定の特別仕様だ。搾りの工程で酒質が最も整うとされる「中取り」の部分だけを抜き、濾過も加水も火入れもしない無濾過生原酒として詰めている。山田錦を麹米50%・掛米60%で仕込み、日本酒度+6・酸度1.8・アルコール18〜19%という数字どおり、骨太でパワフルな一本だ。編集長としては、黒牛の旨み軸を一番濃いまま味わえる「素のままの黒牛」と捉えている。

香りは、生酒らしいフレッシュさが前に出る。搾りたてのみずみずしい果実香に、無濾過由来のやや密度の高い米の含み香が重なり、グラスを近づけると押し寄せてくるような立ち香だ。火入れの定番純米酒の落ち着いた含み香とは対照的に、開けた瞬間の躍動感がこの酒の魅力になっている。

味わいは、含んだ瞬間に原酒らしい濃密な旨みと甘みが一気に押し寄せ、その後を酸度1.8の爽やかで上品な酸が引き締める。アルコール18〜19%の力強さがありながら、酸のおかげで重く感じさせず、後半は日本酒度+6の辛口らしくしっかりキレていく。中取りならではの雑味のない澄んだ旨みが、原酒の濃度の中でもきれいに通っているのが秀逸だ。生原酒なので要冷蔵、開栓後は味の変化も楽しめる。

ペアリングは、濃い味と脂に真っ向勝負できる。馬刺しや鴨ロース、ブリの照り焼き、牡蠣のような旨みと脂の強い肴に対して、原酒の濃度と高めの酸がぶつかり合って互いを高める。淡白な料理ではこの酒が勝ってしまうので、しっかりした肴を用意して向き合いたい。

価格は四合瓶(720ml)で実勢1,700〜1,900円ほど。定番純米酒に近い価格でこの濃度と限定感が味わえるのは魅力だが、クール便必須の生原酒ゆえ通年では手に入りにくい。黒牛の旨みを最も生々しい形で体感したい人のための、季節を待って開ける一本だ。