

八尾の「おわら風の盆」で知られる町の蔵が手がける純米酒で、editorial的には祭りの情緒ごと味わいたくなる一本。坂の町に佇む蔵の佇まいそのままに、派手さより落ち着きを感じさせる造りだ。
香りはおだやかで、米のふくよかさがほんのり立つ程度。五百万石を63%まで磨いてあるおかげで口当たりはなめらかで、含むと穏やかな旨みと軽い甘みが広がる。香りで押すのではなく、味の余韻でじわりと印象を残すタイプ。
中盤からは酸とともに辛さがすっと立ち、後口は重たくならずに引いていく。日本酒度+3前後らしいバランスで、飲み進めても疲れない。冷やでも楽しめるが、ぬる燗にすると旨みがふくらみ、酸が全体をまとめてくれるので、燗映えする一本としても頼れる。
合わせるなら富山名物の鱒寿司、山菜の天ぷら、白身魚の昆布締めといった地のものが好相性。塩で食べる焼き鳥のような淡い味付けにも寄り添い、料理の輪郭を崩さず後味を整える。濃い味より、素材を生かした料理でこそ持ち味が出る。
四合瓶で千五百円台からと手頃で、日常の食卓にも来客の席にも構えず使える。突き抜けた個性で勝負するわけではないが、町の情緒を映したような穏やかさが心地よい、堅実な純米酒。