

富山県黒部市の銀盤酒造による「銀盤(ぎんばん) 純米大吟醸 播州50」は、純米大吟醸でありながら千数百円台で買える、コストパフォーマンスの高さで知られる一本だ。担当する銘柄として今回取り上げるのは、蔵の純米大吟醸ラインの中核を担うこの播州50。播州産の山田錦を50%まで磨き、黒部川扇状地の名水で仕込み、長期低温貯蔵を経て出荷される淡麗辛口の純米大吟醸である。日本酒度はプラス6前後、酸度1.2と、すっきりした辛口設計だ。
香りは穏やかで、洋梨やかすかな白い花を思わせる程度の控えめな吟醸香。山田錦の純米大吟醸というと華やかな果実香を想像しがちだが、この酒はあくまで食中を意識した静かな立ち方をする。長期低温貯蔵で角がとれているぶん、香りに刺々しさがなく、磨きの効いた米のきれいさがまっすぐ伝わってくる。
口に含むと、まず淡麗らしい軽やかな入り。山田錦由来の旨みは控えめに乗り、日本酒度プラス6の数字どおり後半はすっとシャープにキレていく。酸度1.2と低めなぶん、口当たりはまろやかで、のどごしの良さが際立つ。蔵が掲げる「酔いが翌日に残らない、飲み飽きしない酒」という設計思想がそのまま味に出ている印象で、強い個性で押すというより、毎日でも付き合える端正さで勝負するタイプだ。温度帯は8〜12℃の冷やで香りと輪郭が最もきれいに出る。常温に近づけると旨みはわずかに膨らむが、淡麗の透明感は薄れるので、冷やしての提供を勧めたい。
合わせるなら和食全般。白身魚の刺身や焼き魚、出汁を効かせた椀物、塩で食べる天ぷらといった淡い味付けと相性が良い。香りが穏やかで酸も低いため料理の邪魔をせず、食中酒として長く付き合える。富山らしく、寒ブリやホタルイカなど北陸の魚介と合わせても面白い。
価格は四合瓶で1,400〜1,800円ほどと、純米大吟醸としては破格の実勢価格で、流通量も安定している。突出した個性で記憶に残るタイプではないが、山田錦50%磨きの純米大吟醸をこの価格で日常的に楽しめる点は素直に評価できる。背伸びせず食卓に置ける純米大吟醸として、現実的に選びやすい一本だ。