

長浜市木之本町、北国街道の宿場として栄えた町並みに残る山路酒造は、天文元年(1532年)創業と伝わる、日本でも有数の古い蔵。島崎藤村が好んだという薬味酒「桑酒」で名高いが、清酒の銘柄が「北国街道」。この純米吟醸は、長浜産の山田錦を50%まで磨き、アルコール17度台の原酒として仕上げた、蔵の技を映す一本だ。
香りは純米吟醸らしく華やかで、グラスから立つのはリンゴや白い花を思わせる吟醸香。500年近い歴史の蔵というと素朴な印象を持ちがちだが、この酒はむしろモダンで端正。山田錦を高精米した素直さが香りからも伝わる。
味わいは、日本酒度+4のはっきりした辛口で、原酒ながら17度台に抑えているぶん重たさがない。山田錦由来のきれいな旨みが中盤で乗り、酸度1.5が後半を引き締めて、辛口らしいシャープなキレで終わる。甘みは控えめで、旨みと辛さのバランスで飲ませる、食中に強いタイプ。
冷酒(8〜12℃)が最も映え、香りと辛口のキレが際立つ。温度が上がると山田錦の旨みがふくらむので、常温まで戻して旨み寄りに楽しむのも良い。原酒だが粗さはなく、冷やしてグラスで飲むのに向く仕上がり。
ペアリングは、白身魚の塩焼きや天ぷら、刺身など、淡くて繊細な料理。辛口でキレるので、揚げ物の脂もすっきり流してくれる。古い蔵が醸す端正な辛口として、北近江の食卓に合わせたい銘柄。