

「地帆紅」と書いて「ジパング」と読ませる、東洋美人らしいネーミングの限定大吟醸。維新の地・萩から世界を見据えるような名前に、澄川宜史さんの気概がにじんでいると思う。使用米は山田錦、精米歩合は麹米35%・掛米40%、アルコール14度。大吟醸でありながら派手すぎず、東洋美人の「フルーツのような優しい甘み」という核を太い軸として持っている。
グラスに注ぐと、メロンや白桃を思わせる華やかな吟醸香がふわりと立つ。一口含むと上品な甘みと透明感のある旨みが広がり、日本酒度ほぼゼロのバランス感のなかで、後口はシャープに切れていく。この「香りは華やか、後味はシャープ」という二面性が地帆紅の個性で、醇道一途の甘旨とはまた違う緊張感がある。
醇道一途が「日常の食中酒」だとすれば、地帆紅は「香りで魅せる一本」。同じ蔵・同じ山田錦でも、磨きと設計を変えるとここまで方向性が分かれる。掛米を40%まで磨いた分の透明感が、醇道一途(掛米50%)との明確な差として出ている。米は同じでも精米の一段が酒を変える、という見本だ。
冷酒8〜12℃で香りが最も開く。ワイングラス推奨。料理は甘鯛の昆布締め、鮨、天ぷら、帆立のカルパッチョといった淡麗で繊細な皿。香りを邪魔しない素材勝負の和食・前菜と合わせたい。
四合瓶でおよそ2,400〜3,200円。大吟醸としては手が届きやすく、特別な日の食卓に一本置くと場が華やぐ。東洋美人の「華やか系の最上段」を知るなら、まずここから入りたい。