楯野川 純米大吟醸 光明
山形県

楯野川 純米大吟醸 光明

蔵元: 楯の川酒造
純米大吟醸 原料米: 出羽燦々 精米歩合 1%
★ 4.8
★★★★☆
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
-2
酸度
1.4
アルコール度数
15%
価格目安
100,000円前後
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

そのまま 白身魚のカルパッチョ フォアグラ メロン

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

楯の川酒造が「全量純米大吟醸」のさらに先へ踏み込んだ象徴が、この光明(こうみょう)だ。精米歩合はまさかの1%。直径1mmになるまで酒米を磨くという、前人未到の領域に挑んだ一本で、約1800時間・日数にして約75日もかけて山形県産の出羽燦々を削り込んでいる。蔵の通年品が50%や33%で「磨き」を語るなか、この数字だけで光明が別次元の存在であることが分かる。

香りは華やかながら下品にならず、磨き抜かれた米由来の澄んだ果実香が立ちのぼる。口に含むと、雑味の一切ない究極の透明感が広がり、日本酒度-2のかすかな甘みと酸度1.4の繊細なバランスが、舌の上をすっと流れていく。米をここまで削ると味が痩せそうなものだが、光明はむしろ「無」に近い清らかさのなかに確かな旨みの芯を残す。アルコール15度。50%磨きの清流や中取りが持つ「米の旨み」を主役にした設計とは対極の、引き算の美学で組み立てられている。

飲み方はよく冷やして、まずは何も合わせずそのまま。グラスの中で温度が上がるにつれ表情が変わるので、一杯をゆっくり時間をかけて追いたい。香りの繊細さを損なわないよう、薄手の上質なグラスを選びたいタイプだ。

合わせるなら、味の引き算が効いた繊細な料理。白身魚のカルパッチョ、フォアグラ、よく熟したメロン。濃い味付けではこの透明感が埋もれてしまうため、素材本来の旨みや甘みと静かに響き合わせるのがいい。

四合瓶で10万円前後という価格は、日本酒の常識を超えている。約75日の精米と歩留まりの低さを思えば、これは一本のボトルというより蔵の技術の到達点そのものだ。清流や中取りで楯野川の日常を知ったうえで、いつか特別な日に開けたい究極の一本。