

新潟県南魚沼市の高千代酒造による「高千代(たかちよ) 純米酒」は、巻機山(まきはたやま)の伏流水で醸す辛口の純米酒。華やかな限定酒で名を知られる蔵だが、その足元を支える定番の一本がこの純米酒で、日本酒度プラス6のはっきりした辛口設計になっている。麹米に美山錦、掛米にこしいぶきを使い、自家精米機による扁平精米で通常の倍の時間をかけて磨いた米を使う、手間をかけた造りが特徴だ。
香りは控えめで、米と麹由来のクリーンな含み香が静かに立つタイプ。吟醸香を前面に出す設計ではなく、あくまで食中酒としての佇まいだ。扁平精米で雑味を抑えているぶん、鼻に抜ける香りに濁りがなく、磨きの効いた米のきれいさが伝わってくる。冷やすと香りはさらに引き締まる。
口に含むと、軽やかな入りから米の旨みがすっと乗り、後半は日本酒度プラス6らしいシャープなキレが追いかける。酸度は1.4前後とみられ(公開値ではないため代表値で補正)、辛口ながらギスギスせず、旨みと辛さのバランスがとれている。アルコール度数は15度と標準的で、飲み口は軽快。新潟淡麗系の鋭さを持ちつつ、南魚沼の米らしいふくらみも残るのが面白いところだ。温度帯の許容範囲が広いのも美点で、8〜12℃の冷やでキレを楽しむのも、ぬる燗(40〜45℃)で旨みをふくらませるのも、どちらも様になる。
合わせるなら和食全般。淡白な刺身や焼き魚はもちろん、塩で食べる天ぷら、さらにはもつ煮のような味の濃い料理まで幅広く受け止める。キレが強いので脂のある料理と合わせても口の中をすっきりリセットしてくれる。食中酒としての守備範囲の広さは、この価格帯では頼もしい。
価格は四合瓶で1,400〜1,800円ほどと、純米酒として手に取りやすい実勢価格。蔵の華やかな限定酒に比べると地味な存在だが、日常の食卓に常備して冷やでも燗でも使える実用性は高い。辛口の純米を一本決めておきたいときの、堅実な候補になる。