

新潟県長岡市、1830年創業の朝日酒造による「朝日山 純米酒」。朝日酒造といえばプレミアム銘柄「久保田」で全国に知られる蔵だが、朝日山はそれとは別系統の、創業以来の屋号を冠した定番ブランド。久保田が特約店中心の流通であるのに対し、朝日山は地元はもちろん全国のスーパーや量販店でも見かける、日常使いの新潟淡麗を担う存在だ。
香りは控えめで、米と発酵由来のクリーンな含み香が中心。新潟県産米を65%まで磨いて仕込んでおり、一口含むと米の旨みが軽やかに広がり、すぐに新潟淡麗系らしいキレが追いかける。日本酒度+1とほぼ中庸の設計だが、酸の効いた飲み口でやや辛口に感じる。重さがなく、するすると杯が進む素直な酒質だ。
温度の許容範囲が広いのも使いやすいところ。冷酒(10〜13℃)ではキレと透明感が際立ち、常温〜ぬる燗(40℃前後)に振ると米の旨みがふくらんで丸くなる。香りが穏やかなので燗にしても暴れず、料理に寄り添う温度帯になる。冷やでも燗でも破綻しない、懐の深い食中酒だ。
合わせるなら淡い味付けの和食全般。刺身、焼き魚、塩や天つゆの天ぷら、出汁を効かせた煮物や椀物と素直に寄り添い、淡麗なキレが料理の風味を立ててくれる。クセがなく食材を選ばないので、その日の献立に合わせて気軽に開けられるのが強みだ。
価格は四合瓶で1,000〜1,300円前後と、毎日の晩酌に置きやすい水準。久保田の名声に隠れがちだが、同じ蔵が手がける新潟淡麗の入門として完成度は高い。気負わず新潟の地酒を楽しみたい人に勧めたい、コスパの良い一本だ。