

天山酒造の「七田(しちだ) 純米吟醸 雄町50」は、岡山産の酒米・雄町を精米歩合50%まで磨いた純米吟醸だ。低精米路線で知られる七田にあって、こちらは磨きをしっかり利かせ、雄町という個性派の米と吟醸造りを掛け合わせた一本。2017年にフランスで開かれた日本酒コンテストで初代プレジデント賞を受けた実績もあり、七田の名を国外へ広げた立役者でもある。
主役の雄町は、山田錦よりも輪郭がふくよかで、ふくらみのある甘みと厚みを生む米だ。七割五分磨きの七田が「米の濃さ」で押すのに対し、こちらは50%精米で雑味を抑えつつ、雄町ならではのボリューム感を残す。香りはメロンや白桃を思わせる穏やかな吟醸香で、含むと丸い甘みが立ち上がり、酸度1.2のやわらかな酸が全体をまとめる。火入れ版は日本酒度+1前後で、甘みと締まりのバランスが取れている。
飲み頃は10〜13℃ほどの冷酒。冷やすと吟醸香と酸の輪郭が締まり、温度が上がるにつれ雄町の甘みがふくらむ。同じ七田でも、山田錦を使う純米吟醸とは甘みの質感がはっきり違い、横並びで飲むと米の違いがそのまま味に出ているのがよく分かる。
ペアリングは、繊細さとコクの両方に寄り添える。天ぷら、鴨ロース、豚しゃぶ、白身魚の昆布締め。雄町の甘みが素材の旨みと響き合い、やわらかな酸が後味を軽く整える。和食の幅広い献立に合わせやすい。
四合瓶で2,200〜2,800円前後。雄町と山田錦、どちらの七田を選ぶか迷ったとき、まず雄町50を一度通しておくと、蔵の米使いの引き出しの広さが体感できる一本だ。