

新潟県津南町、信濃川と中津川に挟まれた豪雪地帯で1907年から続く苗場酒造の「苗場山」。日本有数の豪雪地ならではの清冽な雪解け水を仕込み水に使い、地元らしい淡麗な酒を醸す蔵だ。今回試したのは、その看板を背負う定番の純米酒。五百万石を60%まで磨いた、純米としては丁寧な磨きの一本である。
香りは穏やかで、米由来のやわらかな含み香が中心。華やかさで惹きつけるタイプではなく、口に含むとまず米の旨みがすっと広がり、続いて新潟淡麗系らしい軽快なキレが追いかける。日本酒度+3、酸度1.4という数値どおり、やや辛口に振れた端正な飲み口。60%精米のぶん雑味がなく、輪郭のきれいな酒質に仕上がっている。
冷酒(10〜13℃)が基本で、淡麗なキレと米の旨みのバランスが最も整う温度帯。常温に戻すと旨みの厚みが顔を出すが、繊細な香りを楽しむなら冷たい状態をキープしたい。豪雪地の水で醸された酒だけあって、口当たりはあくまで清らかで、後口に重さを残さない。
合わせるなら淡い味付けの和食、とりわけ地元の山の幸。刺身、焼き魚、塩の天ぷら、そして山菜の天ぷらと素直に寄り添い、淡麗なキレが料理の風味を引き立てる。雪国の食卓を思わせる素朴な料理と並べると一層しっくりくる、土地に根ざした食中酒だ。
価格は四合瓶で1,200〜1,500円前後(販路で変動)。流通はやや限定的だが、豪雪地・津南の風土を映した淡麗純米として、新潟の地酒を掘り下げたい人に勧めたい一本だ。