

三重県四日市市の宮崎本店による「宮の雪(みやのゆき)」は、1846年創業の老舗蔵が手がける看板銘柄。銘柄名は伊勢神宮の「宮」と、鈴鹿山脈に降り積もる雪に由来する。焼酎「キンミヤ」の蔵としても知られるが、清酒においても「品質本位」を掲げる地元の定番だ。
この純米酒は、五百万石を60%まで磨いて仕込んだ一本。香りは穏やかで派手さはなく、含むと米のふくよかな旨みが素直に広がる。日本酒度+2前後のやや辛口寄りで、酸度1.5が味を引き締め、後半はすっとキレていく。突出した個性で押すのではなく、食事に寄り添う食中酒としての完成度が高い。
温度帯による表情の変化が楽しめるのも特徴。冷酒(10〜13℃)では米の旨みと軽快なキレが立ち、ぬる燗(40〜45℃)に振ると旨みがふっくらと膨らんで丸くなる。燗冷ましでも崩れにくく、一本で複数の飲み方を試せる懐の深さがある。
ペアリングは、家庭の食卓に並ぶ普段のおかず全般。焼き魚、おでん、煮物、天ぷらといった和食の定番としっかり噛み合う。味付けが濃いめの料理にも負けず、燗にすれば冬の鍋料理とも好相性。
四合瓶で1,500〜2,200円。スーパーや酒販店でも手に入りやすい流通量と価格で、日常的に常備しておける一本。華やかさより安定感を求める人、燗酒で米の旨みを楽しみたい人に向く、三重の堅実な地酒。