

福井市の舟木酒造が醸す「北の庄」は、かつてこの地にあった城下町の旧名を冠した銘柄。1866年創業の老舗で、地元向けの実直な酒造りを続けてきた蔵だ。今回はその純米吟醸を四合瓶で開けた。福井の蔵としては比較的求めやすい価格帯ながら、ワイングラスで美味しい日本酒アワードで金賞を得た実績もあり、香り設計に注目して向き合ってみた。
グラスに注ぐと、ライチや青リンゴ、笹のような爽やかな香りがふわりと立ち上がる。精米歩合60%の純米吟醸としては香りの伸びが良く、冷やしてからグラスで飲む楽しさを意識した造りだとよく分かる。
口に含むと、五百万石らしい軽やかな旨みと、ほどよい甘みがバランスよく広がる。日本酒度はやや辛口寄りの設計だが、酸度1.4が効いていて飲み口は柔らかい。後半は重さを残さずに引いていき、二杯目を誘う軽快さがある。10℃前後でいちばん香りが開き、温度が上がると甘みがやや前に出る。
ペアリングは、白身魚のカルパッチョや塩で食べる天ぷら、冷奴、生ハムなど、軽やかな前菜と好相性。脂の強い料理よりも、繊細な香りを邪魔しない淡い味付けに寄り添う。
四合瓶で1,500円台と、純米吟醸の入門にちょうど良い価格。福井のスタンダードな純米吟醸の味わいを、構えずに試したいときに薦めやすい一本だ。