

長野県須坂市の遠藤酒造場が手がける「渓流(けいりゅう)」は、元治元年(1864年)創業の蔵の主力銘柄。北信濃の地で、信州産の酒造好適米「美山錦」を使った日常酒を丁寧に造り続けている。この純米酒は美山錦を70%に磨いた、晩酌向けの一本で、全国燗酒コンテスト2019で金賞を受賞している。
香りは控えめで、米と麹の落ち着いた含み香。一口含むと、精米歩合70%らしい厚みのある米の旨みが広がり、酸度1.7のしっかりした酸が味を引き締める。日本酒度はほぼ±0で、甘すぎず辛すぎない中庸のバランス。派手さはないが、飲み飽きしない素朴な造り。
冷やでも飲めるが、燗酒コンテスト金賞の通り、燗にしたときが本領。ぬる燗〜熱燗(40〜50℃)に振ると、米の旨みと甘みがふくらみ、酸が後味を軽く流してくれる。温めても崩れにくい酒質で、寒い季節の鍋や煮込みと合わせると体に染み入る。常温でも味が痩せないので、温度を選ばず楽しめる。
ペアリングは、醤油や味噌ベースの家庭料理。煮物、焼き鳥(タレ)、おでん、豚の角煮。出汁や甘辛い味付けと旨みがよく重なり、食中酒として料理を受け止める。淡麗な吟醸酒とは逆方向の、料理に寄り添う旨み系の純米酒。
価格は四合瓶で1,300〜1,800円ほど。毎日の晩酌に手軽な価格で、流通量も安定している。「コスパの良い信州の燗酒適性純米」を探すなら、まず候補に挙げたい一本。