

栓を抜いた瞬間、これが日本酒なのかと一瞬戸惑うほど、完熟したパイナップルの香りがグラスから立ちのぼる。高知・亀泉酒造の看板である「CEL-24」を、編集部としても改めて冷やしてじっくり味わってみた。高知県で1993年に開発された酵母CEL-24に由来する強烈な果実香が、銘柄名そのものを体現している。
香りはとにかく華やか。パイナップルを軸に、マスクメロンや白桃を思わせるトロピカルな甘い香りが続く。日本酒度はマイナス11と大きく甘口に振れた設計で、香りの段階からすでに甘さの予感が漂う。これだけ香りが出ていても、アルコール度数は14度と一般的な日本酒よりやや低めに造られている。
一口含むと、香り通りの甘酸っぱさがジューシーに広がる。酸度1.7が甘みをきりっと締めるので、ベタつかず、グレープフルーツのような爽やかな後口に着地する。キレを楽しむタイプではなく、甘酸のバランスで飲ませる酒。温度帯は冷酒(6〜10℃)が断然おすすめで、よく冷やすほど酸が立って甘さがすっきりまとまる。温度が上がると甘さが前に出すぎるので、最後まで冷たくキープしたい。
ペアリングは、和食に縛らず洋の要素と合わせると映える。白身魚のカルパッチョ、生ハムとメロン、フルーツを使った前菜、鶏の塩焼きなど。塩気と酸の組み合わせが心地よく、食前酒やデザート寄りの一杯としても成立する。一方で濃い味付けの煮物や脂の強い料理とは香りがぶつかりやすい。
四合瓶で1,800〜2,300円という価格は、この個性とインパクトを思えば手に取りやすい。低めのアルコールと甘酸ジューシーな飲み口で、日本酒を飲み慣れていない人や、ワインから入った人にこそ試してほしい一本。生酒のため要冷蔵で、開けたら早めに飲み切るのが鉄則だが、「日本酒は辛口で渋い」という先入観を気持ちよく裏切ってくれる入門の名作。