

同じ精米歩合45%の純米大吟醸45をベースにしながら、瓶内二次発酵で炭酸をまとわせた変化球がこのにごりスパークリングだ。スティルの45がしっとりとした晩酌酒なら、こちらは華やかな乾杯のための一本。同じ磨きの米から、まったく別の表情が引き出されている点が面白い。
開栓には注意がいる。生きた酵母が瓶の中で発酵を続けているため、シャンパンのように勢いよく吹き出すことがある。冷蔵庫でしっかり冷やし、栓を少しずつ緩めるのが鉄則だ。グラスに注ぐと白く濁ったにごりの中から、きめ細かい泡が立ち上り、純米大吟醸らしい華やかな香りが弾ける。
味わいはアルコール14度とスティル45(16度)より軽め。山田錦由来の甘みと炭酸の爽やかさが同居し、にごり特有のまろやかな口当たりがある。ただ甘いだけでなく、後味はきりっと締まるので、思った以上に食事に寄り添う。余韻が短めなのは発泡酒ゆえで、それがむしろ次の一杯を軽快に誘う。
ペアリングは乾杯のシーンを中心に、生ハムやフルーツ、前菜の盛り合わせと好相性。クリーム系のチーズと合わせると、にごりのコクと炭酸のキレが両方活きる。スティルの45やシャープな三割九分が食中で活躍するのに対し、こちらは食前・乾杯のポジションで真価を発揮する。
四合瓶で2千円台と、スティルの純米大吟醸45とほぼ同価格帯。日本酒のスパークリングを試したことがない人にこそ勧めたい入門の一本で、獺祭の磨きの技術が発泡酒でどう化けるかを体験できる。要冷蔵・開栓注意という扱いの難しさはあるが、それを補って余りある華やかさがある。