

新政のColors(カラーズ)シリーズは、使う酒米ごとにラベルの色を変える火入れの純米酒群だ。その入口に位置づけられるのが、この「生成(エクリュ)」。エクリュとは麻や生糸の自然な生成り色を指すフランス語で、秋田生まれの酒米「酒こまち」を全量木桶・生酛で醸す。No.6が生原酒のフレッシュさで攻めるのに対し、Colorsは火入れを施し、温度を経ても崩れない安定した骨格を持たせている。
味わいは酒こまちらしい、雪解け水を思わせる清らかさが軸にある。やわらかい旨みが穏やかに広がり、それを軽やかな酸が包む。派手さよりも調和を狙った造りで、酸度1.8と数値も穏やか。新政の中では最も「食中酒としての扱いやすさ」が高いラインで、毎日の食卓に置いても疲れない一本だ。
シリーズ内での立ち位置がはっきりしているのもColorsの面白さで、エクリュ(酒こまち)が標準、ヴィリジアン(美郷錦)が華やかさ担当、コスモス(改良信交)が滑らかさ担当という具合に米で性格が分かれる。まずエクリュを基準に飲んでおくと、ほかの色との違いが立体的に見えてくる。
ペアリングは正統派の和食が合う。刺身、だし巻き卵、野菜の煮浸し、白身魚の塩焼き。出汁の旨みと酒の旨みが素直に重なり、酸が後口を軽く流してくれる。冷酒からやや温度を戻したあたりが旨みのピークで、ぬる燗気味でも崩れない。
定価2,000円前後と新政の中では比較的手に取りやすく、入手機会も多め。生酛・木桶・6号酵母という蔵の基本思想が、最もまっすぐ味に出ているのがエクリュだと思う。新政を一本だけ試すなら、まずここから。