

Colorsシリーズで「滑らかさ・伸びやかさ」を体現するのが「秋櫻(コスモス)」だ。使う酒米は1959年に秋田で生まれた古参の希少米「改良信交」。美山錦と兄弟関係にありながら、美山錦が硬質な性格なのに対し、改良信交は柔らかく上品な味を生む。その米の個性をそのまま酒に翻訳したような、なめらかな口当たりが秋櫻の魅力だ。
口に含むと、角のない旨みがすうっと伸びていく。派手な香りで押すタイプではなく、含み香と滑らかなテクスチャーで魅せる造り。生酛由来の酸が穏やかに全体を締め、原酒ながら重さを感じさせない。アルコール13%、酸度1.8という設計どおり、最後まで線の細い美しさを保つのが秋櫻の持ち味だ。
シリーズ内で並べると、ヴィリジアン(美郷錦)が華やかで立体的なのに対し、コスモス(改良信交)は柔和で繊細。エクリュ(酒こまち)の清楚とも違う、より絹のような質感がある。同じ蔵・同じ製法でも米でここまで表情が分かれるのは、Colorsを通して飲んで初めて腑に落ちる感覚だ。
ペアリングは繊細な料理を選びたい。湯豆腐、白子ポン酢、蒸し野菜、穴子の白焼き。強い味付けより、素材の甘みや出汁を生かした料理に寄り添う。冷酒で繊細さを楽しむのが基本だが、ぬる燗にすると旨みの伸びがいっそう感じられる。
改良信交は栽培量が少なく、秋櫻も数量限定。実勢価格はヴィリジアン同様にやや上がる。Colorsを飲み進めて「滑らかさ」という軸を確かめたくなったら、この一本に手を伸ばしてほしい。