

旭川にある合同酒精の旭川工場が「本当にうまい北海道ならではの地酒を」という思いから生んだ「大雪乃蔵」。米・水・気温の三拍子がそろい、かつて「北の灘」とも呼ばれた旭川の地で、北海道産の酒造好適米と大雪連峰の伏流水を用いて造られる。今回の特別純米酒は、その中核を担う一本だ。
香りは穏やかで上品。低温長期発酵による含み香があり、グラスに鼻を近づけると、やわらかな吟醸香とふっくらした米の香りが感じられる。特別純米らしい清潔感のある立ち上がりで、嫌なクセはない。
口当たりはなめらかで、吟風由来の柔らかな旨みと甘みが静かに広がる。日本酒度+2・酸度1.4とバランス型の設計で、中盤までふくよかさを楽しませたあと、後半はだれずに引いていく。冷酒にすると「辛麗」と評される通りのさらりとした切れ味が前に出て、常温〜ぬる燗では旨みの厚みが増す。温度帯で表情が変わるので、飲み比べる楽しみがある。
ペアリングは、淡白な料理から少し味の濃い惣菜まで幅広く対応する。刺身や鍋物といった和食はもちろん、焼き鳥や煮物とも合わせやすい。食中酒としての汎用性が高く、献立を選ばない。
四合瓶で1,000〜1,300円ほどと手頃で、スーパーでも入手しやすい流通量の多さも魅力。突出した個性で語る酒ではないが、北海道産米の特別純米としての完成度とコストパフォーマンスは堅実。日常の食卓に置きやすい、旭川の実力派だ。