

福島県二本松市の奥の松酒造による「純米大吟醸 紺ラベル」。720mlで実勢1,200円台から手に入る価格でありながら純米大吟醸を名乗る一本で、コストパフォーマンスを物差しに編集部で改めて開けてみた。紺色の落ち着いたラベルどおり、派手さよりも素直さで攻めてくるタイプ。
グラスに注ぐとマスカットや若いリンゴを思わせる爽やかな吟醸香が立つ。香りの強度は中程度で、鼻に突き刺さるような華やかさではなく、注いだ手元でふわっと香る慎ましさ。色はほぼ無色透明に近い。
一口含むと、精米歩合50%らしい軽やかな口当たりの後に、穏やかな甘みと米の旨みがじんわり広がる。日本酒度-2のやや甘口設計だが、酸度1.7が後ろを締めるので、ベタつかずに流れていく。アルコール15度ぶんの軽さも手伝って、するすると盃が進む飲み口。
温度は冷酒(8〜12℃)が素直で、香りと甘みのバランスが最も整う。常温に寄せると甘みがやや重く感じられるので、最後まで冷たい状態を保ちたい。ワイングラスで供すると香りが開きやすく、家庭でも違いを出しやすい。
ペアリングは、白身魚の刺身、天ぷら、鶏の塩焼きといった淡い味付けの和食に加え、クリーム系の前菜のような洋の軽い料理とも合わせやすい。突出した個性で記憶に残るというより、価格と内容のバランスで日常の食卓を底上げしてくれる一本という位置づけ。純米大吟醸を気負わず試したい人の入口に置きたい。