

久留米・城島の杜の蔵は、2008年以降すべての商品を純米仕込みに切り替えた純米蔵として知られる。「翠水(すいすい)」はその看板の一つで、山田錦を50%まで磨いた純米吟醸。蔵の名のとおり、出しゃばらず端正な造りが信条の銘柄だ。
香りは控えめで、白い花や炊きたての米を思わせる穏やかさ。吟醸香で主張するタイプではなく、抜栓直後よりも少し空気に触れさせたほうが表情が出てくる。
味わいは、入り口に山田錦らしい上品な旨みが乗り、中盤からきれいな酸が骨格を支える。日本酒度+3相当のやや辛口だが、シャープに切るというより、旨みを残したまますっと引いていく余韻の長さが印象的。城島の蔵が掲げる「食を引き立てる酒」という方向性が一杯のなかで筋を通している。
冷酒で軽快に、ぬる燗(40℃前後)にすると旨みがふくらむ二面性も持つ。純米蔵らしく燗にも崩れないので、季節と料理に合わせて温度で遊べる一本。
ペアリングは刺身や天ぷら、炊き合わせなど和食の王道に広く合う。塩で食べる焼き鳥とも相性が良い。四合瓶1,600円前後と日常域の価格で、福岡の純米吟醸の「基準点」として手元に置いておきたい。