

江津市の都錦酒造が掲げる「農酵酒」は、農薬・化学肥料を使わない米で醸すというコンセプトのシリーズだ。sign70 諧和はその中位にあたる純米酒で、精米歩合70%、アルコール16%。数字の見た目は素朴だが、飲むと意外なほど整った辛口に仕上がっている。
色はわずかに琥珀がかり、香りは草や風を思わせる落ち着いたトーン。華やかさで押すタイプではない。口に含むと日本酒度+5らしいドライな流れの中に、米の旨みと穀物的なニュアンスがしっかり乗り、後口はすっと乾いていく。冷やでも飲めるが、温めると旨みの輪郭がはっきりしてくる。
合わせるなら出汁と塩の効いた和の肴がいい。焼き魚、湯豆腐、鶏の塩焼き、山菜の天ぷら。料理の繊細な味を消さずに、辛口のキレで後味を整えてくれる。濃い味付けより、素材を活かした料理と組ませたときに真価が出る。
酸度は公開値が見当たらなかったため1.7と推定して置いた。原料米・精米歩合70%・日本酒度+5・アルコール16%は蔵および販売情報で確認できた値で、ここは推定ではない。年によって使用品種が変わる可能性はある。
四合瓶で1,600〜1,900円。米の作り方からこだわる蔵の思想を、価格を抑えて体験できる一本。派手さはないが、毎晩の食中酒として静かに効いてくるタイプの辛口だ。