

八女で文政3年(1820年)創業の喜多屋は、ロンドンの品評会で世界一に選ばれた大吟醸でも名を上げた老舗。「寒山水(かんざんすい)」はその喜多屋が手がける食中酒志向の純米吟醸で、山田錦と吟のさとを55%まで磨いている。
香りは穏やかで、上立ち香よりも含み香で軽く吟醸の気配が漂う程度。料理の前に置いても香りで邪魔をしない、食卓向きの設計だ。
口当たりは軽やかで、日本酒度+3前後のほどよい辛口。中盤にやや丸みのある旨みが乗るものの、後半は潔くキレていき、余韻に甘さを引きずらない。「玄界灘の肴に合う純米吟醸」を蔵が掲げているとおり、魚の塩気や酢の酸味を受け止めて流す役回りがうまい。
冷酒から常温あたりが扱いやすく、冷やしすぎると硬さが出るので10〜13℃を目安にしたい。アルコールは15度前後で、後を引かない軽さも食中酒として効いている。
ペアリングは白身魚の刺身、焼き魚、酢の物、天ぷらなど和食の定番に幅広く対応する。四合瓶2,000円前後と純米吟醸として手頃で、辛口寄りの食中酒を福岡で探すなら堅実な選択肢になる。