鏡山 純米酒
埼玉県

鏡山 純米酒

蔵元: 小江戸鏡山酒造
純米 原料米: さけ武蔵 精米歩合 60%
★ 4.0
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+1
酸度
1.5
アルコール度数
15%
価格目安
1,800円前後
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 煮物 鶏の照り焼き おでん

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

埼玉・川越でただ一つの酒蔵、小江戸鏡山酒造が醸す定番の純米酒。明治期の旧鏡山が1999年に一度途絶え、2007年に地元の手で復活させた経緯を持つ蔵だ。グラスに注ぐと色はうっすらと黄味を帯び、派手さよりも落ち着いた佇まいがある。香りを派手に立てる酒ではなく、第一印象から「肩肘張らずに食卓へ置きたい一本」という空気をまとっている。

香りは穏やかで、立ち香はおとなしい。鼻を近づけると炊いた米を思わせる穀物の香りと、ほんのり栗やさつまいものような甘い含み香が顔を出す。吟醸酒のような華やかな果実香とは方向が違い、あくまで米そのものに寄り添った香り。香りで主張する酒ではないぶん、料理の邪魔をしない設計だと感じる。

口に含むと、まず米由来のふくよかな旨みと柔らかな甘みが舌の中央に広がる。日本酒度はやや甘口寄り、酸がそれを下から支えて間延びを防ぎ、コクのある味わいに輪郭を与えている。温度帯での表情の変化が大きく、冷酒(10〜13℃)では酸が前に出てキレが立ち、常温〜ぬる燗(40〜45℃)に上げると甘みと旨みがふっくら膨らむ。編集部としては、この酒はむしろぬる燗で本領を発揮するタイプと見る。さけ武蔵を精米歩合60%で仕込んだ素朴な厚みが、燗にすることでより素直に伝わってくる。

合わせるなら、味の濃い和の家庭料理。焼き魚、肉じゃがやかぼちゃの煮物、鶏の照り焼き、寒い時季ならおでん。出汁と醤油の効いた料理に対して、酒の甘旨と酸がよく寄り添う。淡白すぎる前菜よりも、しっかり下味の付いた一皿のほうが相性が良い。香りで勝負しない酒なので、香りの強い料理と合わせても喧嘩しないのも使い勝手のいいところ。

価格は720mlで1,800円前後と、純米酒として日常的に手の届く範囲。華やかな吟醸系を求める人には地味に映るかもしれないが、毎晩の晩酌で温度を変えながら飲み続けられる「地酒らしい地酒」だ。川越の蔵が地元の声で復活したという背景も含め、肩の力を抜いて付き合える食中酒として、編集長丸山も常備しておきたい一本に挙げたい。