

羽田酒造は京都市の北、京北という山あいにある。「京都の軽井沢」とも呼ばれる涼しい土地で、創業から120年余り。初日の出はその看板銘柄で、純米大吟醸は地元の冷涼な気候を活かした低温長期発酵で仕込まれている。
40%まで磨いた米から立つのは、メロンや洋梨を思わせる上品な吟醸香。麹米に京都産の「祝」を使い、米と麹だけで丁寧に醸した一本だ。口に含むと、なめらかな舌触りと穏やかな甘み、そして純米大吟醸らしいきれいな旨みが順に現れる。日本酒度+3のやや辛口で、後半はすっと収れんしていく。
香りを最も美しく感じたのは8〜12℃の冷酒帯。温度が上がると米の旨みが顔を出すので、冷たい状態を保って少しずつ飲み進めたい。華やかさと端正さのバランスがよく、純米大吟醸の入門としても、贈り物としても収まりがいい。
ペアリングは淡い味付けの料理がよく合う。白身魚の刺身、出汁巻き卵、塩で食べる天ぷら、蒸し鶏など、香りを邪魔しない皿を選ぶのがコツ。脂や香りの強い料理と合わせると、せっかくの吟醸香がかすんでしまう。
四合瓶で三千円前後と、純米大吟醸としては手の届きやすい価格。山里の小さな蔵が丁寧に造る酒で、京都市内ではあまり見かけない希少さもある。誕生日や来客の席に開けるなら、過不足のない一本だ。