

超辛口で名を馳せた蔵が、磨きの極みで見せる華やかさ。それがこの純米大吟醸だ。山田錦を精米歩合50%まで磨き、日本酒度は-4前後。Kura Master 2024純米大吟醸部門金賞、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2024金賞と、近年の受賞歴も厚い、春鹿のグレードの頂点に近い一本だ。+12の純米超辛口とは原料米も磨きも価格帯もすべて異なる、明確な別カテゴリーである。
栓を開けると、りんごを思わせるフルーティーな吟醸香が華やかに立ち上がる。封印酒の上質なメロン香とも方向が違い、こちらはより透明感のある果実香で、50%まで磨いた山田錦らしい雑味のない清らかさが香りの段階から際立つ。超辛口の香りを引き算した設計とは対照的に、この純米大吟醸は香りそのものを主役に据えている。
含むと、まろやかで上品な旨みと果実的な甘みがなめらかに広がり、酸度1.3前後が全体を綺麗にまとめる。日本酒度-4のやわらかな甘みがありつつ、磨きの高さゆえに後口は澄んで、余韻はすっと長く伸びる。アルコール分15度で飲み口は軽やか。8〜12℃の冷酒で香りと甘みが最も美しく開き、グラスはワイングラスで楽しむと香りの広がりがよく分かる。
ペアリングは、繊細で上質な料理。鯛の昆布締め、帆立のソテー、フルーツ、前菜の盛り合わせなど、素材の質で見せる皿と重ねると、この酒の華やかな香りと綺麗な旨みが料理を引き立てる。濃い味付けで合わせるよりも、淡く上品な一品と冷酒で、香りの世界をゆっくり楽しみたい。
価格は四合瓶で3,000〜3,300円前後(実勢)。看板の超辛口が春鹿の背骨なら、この純米大吟醸は蔵の技術を見せる晴れ着の一本だ。編集長としては、贈り物や特別な席に、辛口の蔵が磨きで何を表現できるかを示す代表として勧めたい。