

会津若松の花春酒造は、地元では古くから親しまれてきた蔵で、会津産米100%にこだわった酒づくりを続けている。今回の純米吟醸は、その会津の米を55%まで磨いた一本。日本酒度マイナス2、酸度1.6、アルコール16度という、しっかり旨みを乗せた設計だ。
香りは穏やかで、吟醸香というより米由来のふくよかな香りが前に出る。口に含むと、まず会津米らしい厚みのある甘旨みが舌全体に広がり、続いて酸度1.6がそれをきゅっと締める。16度のボディがあるぶん、飲みごたえはしっかりしていて、軽快というよりは「コクで飲ませる」タイプの純米吟醸だ。
このコクは温度で大きく表情を変える。冷酒では甘みと酸のバランスが前に出て、ぬる燗から上燗(45℃前後)にすると旨みがほどけて一段とふくらむ。個人的には燗にしたときの伸びが好印象で、寒い時期に常備しておきたくなる味わいだった。
ペアリングは、しっかりした味の家庭料理が中心。豚の角煮や味噌田楽、きのこの炊き込みご飯など、甘辛い味付けや発酵調味料を使った皿と相性がいい。酒の旨みと料理のコクが同じ方向で重なり、食卓の満足度が上がる。
四合瓶で1,500円前後と手に取りやすく、晩酌の定番として回しやすい一本。派手さで勝負する酒ではないが、会津米のふくらみと燗での伸びを楽しみたいときに頼れる純米吟醸だ。