花陽浴 純米大吟醸 吟風 無濾過生原酒
埼玉県

花陽浴 純米大吟醸 吟風 無濾過生原酒

蔵元: 南陽醸造
純米大吟醸 原料米: 吟風 精米歩合 48%
★ 4.7
★★★★☆
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
-2
酸度
1.7
アルコール度数
16%
価格目安
2,400〜3,200円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

帆立の刺身 甘えびの昆布締め クリームチーズ 桃のコンポート

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

吟風(ぎんぷう)は北海道で生まれた酒造好適米で、寒冷地の米らしい柔らかな旨みと、ふくらみのある甘さを引き出すことで知られる。花陽浴(はなあび)が埼玉の蔵でありながら北海道産の吟風を選んで仕込むこの一本は、南陽醸造が米の産地にこだわらず「花陽浴の華やかさを最も引き出せる米」を貪欲に探している証だと丸山は受け止めている。

抜栓すると、花陽浴の真骨頂たる南国果実の香りが豊かに立ち上がる。吟風版は、パイナップルやマンゴーの甘い香りに、白桃や和梨のような柔らかく丸いニュアンスが重なるのが特徴。八反錦版や美山錦版のシャープな涼やかさとは対照的に、香りの輪郭がふっくらと優しい。無濾過生原酒の微発泡が、その柔らかさに瑞々しさを加える。

含むと、吟風由来のまろやかな旨みと花陽浴のジューシーな甘みが溶け合い、口当たりがとてもなめらか。雄町版ほどの濃醇さはないが、角のない優しい甘旨が広がり、軽い酸と微発泡が後口を支える。山田錦版の華やかさ、雄町版の力強さに対して、吟風版は「柔らかく丸い甘旨」。きつさがなく、するすると飲み進めてしまう危うさがある。冷酒(6〜10℃)で最も整う。

ペアリングは、帆立の刺身や甘えびの昆布締めといった、甘みのある魚介。吟風のまろやかさが素材の甘みと自然に響き合う。クリームチーズや桃のコンポートのような、柔らかく甘い食材とも好相性で、洋の文脈でも違和感がない。角のある料理より、優しい味わいの一皿と合わせたい。

価格は四合瓶で定価2,400円前後。日本酒度・酸度は蔵非公表で、数値は酒質からの編集部推定だが、味の方向性は花陽浴の中でも柔らかく丸い甘旨寄りと考えてよい。北海道の米が埼玉の蔵でどう花開くか——産地を越えた米と蔵の出会いを楽しみたい人に、この吟風版を薦めたい。