

純米大吟醸50は、天狗舞のイメージである山廃の濃さを意図的に外した「軽やかな大吟醸」だ。山廃純米大吟醸が精米45%・山田錦で山廃のコクを乗せるのに対し、こちらは精米50%・山田醸系を速醸でクリーンに仕上げ、熟成感を抑えた新しい味わいに寄せている。同じ蔵の純米大吟醸でも、磨きと仕込みの違いで狙いがはっきり分かれているのが面白い。
味わいは洋梨を思わせる爽やかな含み香に、きめ細かな酸が調和するタイプ。日本酒度+3、酸度1.4と、数値上も山廃ラインより酸が控えめで、口当たりはスムーズ。山廃の力強い余韻を期待すると肩透かしを食うが、その代わりに料理を選ばない懐の深さがある。
個性評価をあえて3に置いたのは、これが「主張する天狗舞」ではなく「整える天狗舞」だからだ。山廃純米大吟醸が記憶に残る一杯なら、純米大吟醸50は何杯でも飲める一本。蔵が自らの濃醇イメージに対するアンサーとして用意した、軽快ラインの基準点だと捉えている。
冷やして7〜12℃で香りと酸のバランスが最も整う。温度を上げると旨みは出るが、本来の清涼感は冷やしてこそ。生酒バージョンも流通するが、火入れの定番でも十分に軽快さは味わえる。
ペアリングは鯛の昆布締め、帆立のカルパッチョ、天ぷら、能登の笹寿司など。四合瓶で1,800〜2,300円と純米大吟醸としては手頃で、山廃が得意でない人への「入口の天狗舞」として薦めやすい。