

石川県珠洲市、奥能登最古とされる250年の歴史を持つ宗玄酒造の定番純米酒。山田錦を65%まで磨き、能登杜氏発祥の地ならではの押し出しの強い辛口に仕上げる。日本酒度+4、酸度1.8とキレ寄りの設計で、四合瓶1,500〜1,800円。能登の食卓を支えてきた地酒として向き合った。(※スペックは宗玄の純米系SKUの公表値をもとにした代表値。年度・商品により前後する)
香りは穏やかで、米由来の落ち着いた含み香が中心。華やかさを狙わず、食中酒として香りを抑えた造り。一口含むと、山田錦の旨みがすっと立ち上がり、日本酒度+4らしい辛口の骨格が後半をきっちり締める。酸度1.8が効いていて、旨みが乗っても重くならず、後口は驚くほど潔くキレる。「能登の辛口」の典型といえる味わいだ。
温度帯は守備範囲が広い。冷酒(10〜13℃)ではシャープな辛口として、常温では旨みの輪郭がふくらみ、ぬる燗(45℃前後)では米の甘旨が顔を出して丸くなる。冷やでキレを楽しむも良し、燗で旨みを引き出すも良しで、温度で表情を作りやすい。
ペアリングは魚介と相性が良い。能登の地らしく、赤身の刺身やふぐ、焼き魚、おでんなど。辛口のキレが脂や塩気を洗い流し、次の一口を軽くする。濃い味付けの和食にもよく耐える。
派手さはないが、芯のある辛口で食事を選ばない実力派。能登半島地震を経てなお醸し続ける蔵の一本として、能登の地酒の骨格を知るのにふさわしい銘柄だと感じた。