

「モダン仙禽 亀ノ尾」は、同じ亀ノ尾でもクラシック版とまるで別の酒に仕上がる、せんきん酒造の面白さが詰まった一本だ。クラシックが生酛でスパイシーに攻めるのに対し、モダンは速醸でクリアに描く。米は同じ亀ノ尾でも、設計思想が真逆なので、味の表情がはっきり分かれる。
含むと、亀ノ尾らしい軽快さがモダンの透明感とよく噛み合う。やや甘口に振れた果実味と、レモンを思わせる爽やかな酸が一体になり、後口はすっと引いていく。日本酒度はマイナス3前後、酸度1.8程度で、無垢よりわずかに酸が立ち、キレが良い。アルコール度数14%と原酒にしては軽く、夏場でも杯が進む。米違いというより、同じ亀ノ尾を別の演出で見せる飲み比べの妙が楽しめる。
冷酒(6〜10℃)が最適。冷えているほど酸の輪郭が締まり、爽快さが際立つ。ワイングラスでも、薄手のグラスでも香りがよく開く。
合わせるなら軽やかな料理。白身魚の塩焼き、夏野菜のマリネ、冷奴、鶏のソテー。脂の少ない素材に、ジューシーな酸が瑞々しさを添えてくれる。
価格は四合瓶で2,100〜2,600円前後。クラシック亀ノ尾と並べれば、生酛と速醸の違いが舌で理解できる、教科書のような飲み比べになる。