沢の鶴 純米酒 山田錦
兵庫県

沢の鶴 純米酒 山田錦

蔵元: 沢の鶴
純米 原料米: 山田錦 精米歩合 65%
★ 4.0
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+2
酸度
1.3
アルコール度数
14%
価格目安
1,000〜1,400円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 煮物 肉じゃが おでん

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

兵庫・灘の沢の鶴は、享保2年(1717年)創業の「米にこだわる」蔵として知られる。今回の「純米酒 山田錦」は、その姿勢を最も手に取りやすい形で示す定番銘柄だ。グラスに注ぐとごく淡い山吹色で、香りも控えめ、最初から「日々の食卓の酒」と語りかけてくる落ち着いた佇まい。山田錦を使いながらも価格を抑え、晩酌の常備酒として置けるバランスを狙った設計が伝わってくる。

香りは穏やかな含み香が中心。鼻を近づけると炊いた米や栗を思わせるふくよかさがうっすら立つ程度で、吟醸系の華やかな香りは狙っていない。これは料理の匂いを邪魔しないための引き算で、香りで主張するより味で寄り添うタイプだと丸山は受け取った。灘の名水・六甲山系の宮水系仕込みらしい、すっきりした香り立ちである。

味わいは、山田錦由来の米の旨みが舌の中央に穏やかに乗り、甘辛のバランスは中庸。日本酒度は+2前後とされ、わずかに辛口に寄りつつも角はなく、酸度1.3前後の柔らかな酸が全体をまとめる。アルコール度数14%とやや低めで、口当たりは軽くスルスルと飲める。冷や(10〜13℃)でも素直だが、ぬる燗(40〜45℃)に振ると旨みが丸く開き、温度を上げても崩れない純米らしい安定感を見せる。突出した個性より、毎日飲んでも飽きない平衡感覚が持ち味だ。

ペアリングは気取らない和の総菜が似合う。焼き魚、根菜の煮物、肉じゃが、おでんといった家庭料理に、この酒の穏やかな旨みと軽い酸がよく寄り添う。味付けの濃い料理にも淡い料理にも幅広く対応し、食卓全体の調和を崩さない。料理を選ばない懐の深さが、定番として長く愛される理由だろう。

価格は720mlでおおむね1,000〜1,400円(実勢)。山田錦を使った純米としては破格に近い価格帯で、毎晩の晩酌に無理なく置ける。華やかさや希少性を求める酒ではないが、三百年続く灘の大手が「米の酒」として磨いてきた食中純米の完成度は高い。冷やでも燗でも様になる、王道にして実直な常備酒として推せる一本だ。