奥播磨 純米
兵庫県

奥播磨 純米

蔵元: 下村酒造店
純米 原料米: 兵庫夢錦 精米歩合 60%
★ 4.5
★★★★☆
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+3.7
酸度
2.3
アルコール度数
15%
価格目安
1,500〜1,800円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 煮物 おでん もつ煮

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

兵庫県姫路市、山あいの安富町にある下村酒造店の定番「奥播磨 純米」。創業1884年、純米酒のみを手造りで仕込む小蔵が、地元・安富町産を中心とした兵庫夢錦で醸す一本だ。グラスに注ぐとわずかに黄味を帯び、いかにも旨みの詰まった酒だという第一印象を受ける。淡麗系の透明感とは対極にある、骨太な構えの酒。

香りは派手な吟醸香ではなく、炊いた米や栗、かすかにナッツを思わせる穀物系の含み香。冷えた状態では香りは控えめにまとまり、温度が上がるにつれて立ち上がってくる。華やかさで売る酒ではなく、味わいの厚みで勝負する設計だと、抜栓直後の香りからも伝わってくる。

味の主役は、口に含んだ瞬間に広がる濃厚な米の旨みと、それを支える酸。日本酒度+3.7で輪郭は辛口寄りだが、酸度2.3という高さがあるため、ただ辛いのではなく旨みと酸が拮抗する密度の高い味になる。冷酒(10〜13℃)では酸が前に出てキレが立ち、ぬる燗(45〜50℃)に振ると米の旨みがふくらんで一気に開く。熱燗(55℃前後)でも崩れず、むしろ骨格が太くなる。蔵元自身も「燗で旨みが増す」と謳う通り、温度を上げてこそ本領を発揮する、燗の手本のような純米だ。

ペアリングは、味の濃い和の惣菜が好相性。焼き魚、煮物、おでん、もつ煮といった出汁と醤油の効いた皿に、酸が脂やコクを受け止めて流す。繊細な刺身よりは、しっかり火を入れた料理や根菜の煮物に合わせたい。燗にして熱い鍋とともに楽しむのが、この酒のいちばん幸せな飲み方だと思う。

価格は四合瓶でおよそ1,500〜1,800円(一升瓶で3,000円前後)。この値段で、これだけ温度帯ごとの表情を楽しめる純米はそう多くない。淡麗辛口とは違う、米の旨みと酸でぐいぐい飲ませる兵庫の濃醇旨口。燗酒を日常に取り入れたい人にまず勧めたい、家に常備しておきたい実力派の一本だと編集部は評価する。