

輪島で1868年から続く中島酒造店が、石川県が11年をかけて育成した新しい酒造好適米「百万石乃白」を50%まで磨いて仕込んだ純米酒。能登半島地震からの復興を進める奥能登の蔵が放つ一本として、編集部も特別な思いで栓を抜いた。
香りは穏やかで清潔感があり、メロンや白桃を遠くに感じる程度。新しい県産米の素直さがそのまま立ち上がるようで、ことさら華やかさを狙っていないのが好印象だ。色はほぼ無色透明。
口当たりはやわらかく、純米らしい優しい甘みと旨みがふくらむ。日本酒度はほぼ中庸で、酸度1.4が後味を軽く締める。50%精米のわりに線は太すぎず、すっきりと飲める。突出した個性で押すのではなく、米の輪郭を丁寧に描くタイプ。冷酒(8〜12℃)で香りと甘みのバランスが最も整う。
ペアリングは能登の海の幸が筆頭。白身魚のカルパッチョや、能登名物の魚醤「いしる」を使った料理と合わせると、酒の旨みが魚介のコクを受け止める。冷奴や焼きナスなど淡白な料理にも寄り添い、食中で穏やかに働く。
四合瓶で1,500〜1,900円ほど。奥能登の小さな蔵が新県産米で醸した純米酒として、味わいの素直さと造り手の物語の両方を楽しめる。北陸の食卓に置いて応援したくなる銘柄。