菊姫 にごり酒
石川県

菊姫 にごり酒

蔵元: 菊姫合資会社
本醸造 原料米: 山田錦 精米歩合 70%
★ 4.0
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
-6
酸度
1.3
アルコール度数
14%
価格目安
1,000〜1,300円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

鍋料理 焼き芋 ブルーチーズ アイスクリーム

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

菊姫のラインのなかで、ひときわ異彩を放つのがこの「にごり酒」だ。山廃の濃醇辛口や気品ある大吟醸とは打って変わり、もろみを粗く漉した白濁の甘口で、寒い季節の定番として長年親しまれてきた。原料米は吉川産・特Aの山田錦を70%精米、日本酒度-6・酸度1.3とはっきり甘口に振った設計で、醸造アルコールを加えて飲み口を整えている。分類上は本醸造系のにごりにあたるが、菊姫らしい米の旨みがしっかり詰まっており、安価な甘いにごりとは一線を画す中身を持つ。

色合いは、もろみ由来の濁りで白く曇る。グラスを傾けると沈んだ滓が舞い、米の発酵香に乳酸系のほのかな酸のトーンが混じる。香り自体は穏やかで、派手さはない。瓶の底に滓が溜まっているので、軽く回してから注ぐと味のボリュームが増す。

味わいは、とろりと甘い。一口含むと米のたっぷりした甘みと滓のコクが舌を覆い、日本酒度-6らしい甘口がはっきり前に出る。それでいて酸度1.3の酸が後半をすっと締めるため、甘ったるさで終わらず、案外スッキリと切れていくのが菊姫らしいところだ。アルコール14度台で飲み口は重すぎず、甘口にごりにありがちな「だるさ」がない。冷やしてデザート感覚で、あるいは雪見酒として常温で——寒い季節にこそ本領を発揮する。

ペアリングは、甘みと相性の良い皿や、こってりした料理。鍋料理の締めに、あるいは焼き芋やアイスクリームと合わせてデザート的に楽しむのも面白い。意外なところではブルーチーズの塩気と甘い滓のコントラストがよく、食後酒としての顔も持つ。辛口酒の合間に、甘いにごりで舌を変える一本として重宝する。

価格は720mlで1,000〜1,300円前後と、菊姫のなかで最も気軽な価格帯。山廃や大吟醸で構えがちな蔵だが、このにごりは「冬の楽しみ」としてもっと気軽に手に取ってほしい一本だ。甘口にごりを敬遠してきた人ほど、菊姫の酸の効いたキレに驚くはず。蔵の幅広さを示す異色の定番として、編集長・丸山も冬場の棚に欠かさず並べている。