生道井 純米酒 生一本
愛知県

生道井 純米酒 生一本

蔵元: 原田酒造
純米 原料米: 国産米 精米歩合 70%
★ 4.1
★★★★・
編集長 丸山評価

スペック

日本酒度
+5(推定)
酸度
1.4
アルコール度数
15%
価格目安
1,300〜1,600円
味わいレーダーチャート
香り甘みキレ余韻個性
4象限ポジション
辛口甘口淡麗濃醇 爽快・キレ系穏やか・優しい系どっしり辛口芳醇・甘口

料理ペアリング

焼き魚 鶏の塩焼き 煮魚 もつ煮込み

この銘柄のタグ

編集長レビュー

編集長 丸山
日本酒愛好家・延べ1000銘柄を試飲

愛知県知多郡東浦町、衣浦の入江を望む地に蔵を構える原田酒造は、安政2年(1855年)創業の知多半島の地酒蔵だ。銘柄名の「生道井(いくじい)」は、日本武尊ゆかりと伝わる古井戸の名に由来する。今回向き合った定番純米「生一本」は、原料米を70%まで磨き、力強い米の味とキレを身上に据えた一本。グラスに注ぐとわずかに照りのある澄んだ色合いで、立ち上る印象は名前のとおり「実直」。派手な香りで気を引くのではなく、米の旨みとキレで卓を引き締めにくる骨格が最初から伝わってくる。

香りは控えめで、炊いた米や乾いた穀物を思わせる穏やかな含み香が中心。華やかな吟醸香を狙った設計ではなく、香りで主張せず後半のキレで締めるタイプだ。冷やすと香りはさらに静かになり、料理の香りを邪魔しない。知多半島は古くから「酒どころ・酢どころ」として栄えた醸造の土地で、その地酒らしい飾らない香り立ちが、家庭の食卓に置いたときの収まりの良さにつながっている。

味わいは、口に含むと米の旨みがしっかりと中盤で広がり、それを酸が引き締めてキレていく辛口設計。蔵は「力強い米の味、コクとキレのよい辛口」とうたっており、体感としてもまさにそのとおりで、淡麗に痩せた辛さではなく旨みに厚みのある辛口にまとまっている。日本酒度・酸度は定番純米の公開値が確認できなかったため編集部の推定だが、コクのある旨みと締まった後口の両立が印象的だった。冷酒(10〜13℃)でバランスが整い、ぬる燗〜熱燗(40〜50℃)に振ると旨みがふくらんで燗映えする。温度で表情を変えられる、燗まで含めて遊べる食中酒だ。

ペアリングは味の濃い和食に強い。焼き魚や鶏の塩焼き、煮魚、もつ煮込みといった塩・醤油や出汁の効いた料理と合わせると、酒のコクと辛さが料理の旨みと共鳴し、後口のキレが口中をリセットしてくれる。とくに燗にすれば冬の鍋料理や煮込みと好相性で、こってりした卓を後ろから断ち切る役回りがよく似合う。

価格は720mlで1,300〜1,600円前後の実勢。知多半島の小さな蔵が地元で長く飲み継いできた定番純米としては手に取りやすい水準だ。なお本品は蔵のラインナップ上、定番純米「生一本」を基準にレビューしており、日本酒度・酸度の一部は公開値が確認できなかったため辛口の味わいから編集部が推定した数値である点を補足しておく。希少性で押すタイプではないが、燗で本領を発揮する「コクのある辛口純米」として、愛知の地酒の奥行きを知る一本に挙げておきたい。